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15- D- 0287 201 5 年 7 月 1 5 日
大手損害保険グ
ル
ー
プ
の 15/ 3 期決算の
注目点
大手損害保険グループの 15/ 3 期決算を踏まえ、株式会社日本格付研究所(J C R)の現状に関する認識を 整理した。
1. 大手損害保険グ
ル
ー
プ
の
決算動向
主要損害保険グループの 15/ 3 期業績は、国内損保事業における自然災害に係る発生保険金の減少や自動 車保険の収支改善に加え、海外保険事業や、国内生保事業の寄与もあり、連結当期純損益は増加した。
国内損保市場における主要種目である自動車保険については、1998 年の保険料自由化以降の収支残率が マイナスとなる価格競争から脱し、主要各社は引き続きリスクに見合ったプライシングに軸足を置いている。 15/ 3 期においても、修理単価の上昇や消費税率引き上げによる物件費、代理店手数料の負担は増加したもの の、価格の適正化施策の効果を享受した。正味収入保険料が増加したことに加え、事故請求頻度は減少して おり、損害率が改善傾向にあり、複数の会社で自動車保険のコンバインドレシオが 95%近傍となった。
火災保険については、14年 2月の雪害の反動を背景に、15/ 3期における自然災害に係る発生保険金が前 年同期比で減少して発生ベースの損害率が改善したものの、複数の会社において、引き続き収支に改善の余 地がある。火災保険の収支構造の適正化に向け、損害保険料算出機構(算出機構)は、台風被害の多発、風 雹災や雪災を含む自然災害や水漏れ損害による保険金の支払いが近年増加していることに注目し、14 年 7 月 に火災保険の参考純率を平均 3. 5%引き上げた。それに加え、地球温暖化により自然災害の将来予測に不確 実な要素が増しているとの研究を受け、算出機構は、火災保険の参考純率の対象範囲を保険期間が 10 年ま での契約とした。
各損保グループは、欧州ソルベンシーⅡの手法等を参考として、経済価値ベース評価を勘案したリスク量 (信頼 水準 99.95%または 99. 5% V aR)の カバー率を示す内部 管理上の健全 指標である E conomic Solvency Ratio(E SR)の水準に注目し、シナリオテストなどによって補完しつつ、資本の十分性を検証している。各 グループは、ストレスシナリオ発現時にも事業継続が可能であり、新規投資を可能とする E SR 水準を維持す ることが重要であると考えており、こうした要件を踏まえても、15/ 3 期において、引き続き内部管理上の資 本の十分性を確認できる結果となった。
2. 決算に
お
け
る
格付上の
注目点
各社は、火災保険等の商品・料率改定、リザルト対策の継続など引受規律を持続的に強化する方針である。 将来にわたる不確実性というリスクも含め、いかにリスク対比のリターンを踏まえた適切な価格設定がなさ れていくのか注目している。
また、事業費率については、改善傾向にある会社もあるなか、事業費の変化要因の詳細や、事業費率の水 準については各社各様である。商品の差別化が限定的であるなか、事業効率は競争力の源泉と位置付けられ、 正味収入保険料の増加に加え、システムコストの削減を主因とする物件費の減少などにより、各社の事業費 率は僅かであるが低下または横ばいであった。今後については、各社の商品・サービスの差別化に向けた先 行投資による足元の事業費への影響を確認することに加え、中期的な視点から事業モデル強化施策としての 実効性についても確認していく。
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していない。各グループは、さらに政策株式の売却を進めることで、資本の質の向上などにつなげていく方 針であり、リスク削減の実施状況に注目していく。政策株式などグループ全体に大きな影響を及ぼす可能性 のあるリスクは、資本に大きな負荷をかけており、こうしたリスクを抑制することは、分散効果の向上に向 けて非常に有効な手段でもある。
近年の自然災害や金融市場変動による自己資本充実度への影響は各社一様ではなく、保有リスクにおける 構成比の高い国内自然災害、株式リスクなどに係るシナリオテストを踏まえた上で、各社のリスク削減や資 本強化の方針と実績を見定めることが重要となってきている。各損保グループが、E RM の枠組みを構築して きているなか、リスクの概念を基軸とした意思決定が経営のあらゆる局面に組み込まれること、すなわちリ スク対比の資本の十分性と、リスクとリターンのバランスを踏まえた意思決定が肝要であり、E RM の浸透状 況に注目している。
(担当)水口 啓子・杉浦 輝一
(図表 1)15/ 3 期の大手損保グループ(国内損保の保険業績関連指標) (単位:億円、%)
正味収入保険料 正味損害率 正味事業費率 コンバインドレシオ
増減率
① 増減
ポイント
② 増減
ポイント
( ①+②) 増減
ポイント
東京海上グループ
東京海上日動火災保険 20, 367 3. 6 61. 3 ▲1. 7 30. 2 ▲0. 0 91. 5 ▲1. 7 日新火災海上保険 1, 366 ▲0. 5 63. 7 ▲0. 1 32. 6 0. 1 96. 3 ▲0. 0 MS&AD グループ
三井住友海上火災保険 14, 458 4. 4 62. 2 ▲2. 9 31. 8 ▲0. 2 94. 0 ▲3. 1 あいおいニッセイ同和損害保険 11, 608 1. 4 63. 2 ▲1. 8 35. 0 0. 5 98. 2 ▲1. 3 損保ジャパン日本興亜( SOMPO) グループ
損害保険ジャパン日本興亜 21, 813 4. 8 65. 6 ▲0. 1 31. 8 ▲0. 4 97. 4 ▲0. 5
(図表 2)国内損保の主要種目別の業績関連指標
自動車保険 (単位:億円、%)
正味収入保険料 正味損害率 正味事業費率 コンバインドレシオ
増減率
① 増減
ポイント
② 増減
ポイント
( ①+②) 増減
ポイント
東京海上グループ
東京海上日動火災保険 9, 903 4. 5 61. 1 ▲2. 5 30. 5 0. 1 91. 5 ▲2. 4
日新火災海上保険 833 2. 9 57. 1 ▲1. 9 29. 9 ▲0. 2 87. 0 ▲2. 1
MS&AD グループ
三井住友海上火災保険 6, 262 2. 9 60. 9 ▲2. 6 32. 2 0. 4 93. 1 ▲2. 2
あいおいニッセイ同和損害保険 6, 652 1. 0 61. 0 ▲2. 2 34. 6 1. 1 95. 6 ▲1. 1 損保ジャパン日本興亜( SOMPO) グループ
損害保険ジャパン日本興亜 10, 437 2. 9 63. 4 ▲1. 6 31. 4 0. 1 94. 8 ▲1. 4
火災保険
正味収入保険料 正味損害率 正味事業費率 コンバインドレシオ
増減率
① 増減
ポイント
② 増減
ポイント
( ①+②) 増減
ポイント
東京海上グループ
東京海上日動火災保険 2, 711 4. 9 57. 6 5. 3 38. 8 ▲0. 6 96. 4 4. 6
日新火災海上保険 145 ▲19. 0 90. 5 19. 8 40. 1 1. 9 130. 6 21. 7
MS&AD グループ
三井住友海上火災保険 2, 226 4. 9 67. 0 ▲3. 9 39. 7 ▲0. 8 106. 7 ▲4. 7 あいおいニッセイ同和損害保険 1, 449 6. 8 66. 2 1. 4 46. 8 0. 7 113. 0 2. 1 損保ジャパン日本興亜( SOMPO) グループ
損害保険ジャパン日本興亜 3, 232 14. 0 70. 9 6. 1 40. 1 ▲1. 8 111. 0 4. 3
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【参考】
発行体:東京海上ホールディングス株式会社
長期発行体格付:#A A A / ネガティブ
発行体:東京海上日動火災保険株式会社
長期発行体格付:#A A A / ネガティブ
発行体:三井住友海上火災保険株式会社
長期発行体格付:A A + 見通し:安定的
発行体:あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
長期発行体格付:A A + 見通し:安定的
発行体:損害保険ジャパン日本興亜株式会社
長期発行体格付:A A 見通し:ポジティブ
発行体:セゾン自動車火災保険株式会社
長期発行体格付:A 見通し:ポジティブ
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